Yさんは7年ほど前に、一時、勤め先の会社の業績が悪化し、定期的な残業がなくなってしまい、手取収入が減少しました。そのため、月約9万円の住宅ローンの支払いや生活費の補填に、消費者金融や信販会社から借入をしてしまいました。その後も少しずつ借入が増えてしまい、気がつけば、借金が約700万円(住宅ローン以外に毎月14万円の返済)に膨らみ、Aさんと妻のパート収入を合わせても、とても支払える額ではなくなって、相談にいらっしゃいました。
Yさんは、住宅ローンを含めて毎月15万円ぐらいなら返済していけるとのことでした。
Yさんの場合、債権調査を行い、利息制限法での引き直し計算を行った結果、住宅ローンを除く借金の額が、約390万円となりましたが、全額の返済が困難であったため、小規模個人再生の申立をすることになりました。小規模個人再生の場合の返済総額は、引き直し後の借金の5分の1(最低額100万円)と、清算価値(自分の保有している財産の価値)を比較し、多い方の額になります。Yさんには長年かけている生命保険や、積立金、退職金があるとのことでした。これらの財産の価値を調べてみると、生命保険の解約返戻金の見込額が約50万円、積立金が約20万円であり、退職金に関しては、約400万円という結果でした。退職金の財産価値は手続上、1/8の計上になりますので、約50万円となり、総額で約120万円の清算価値になりました。よってYさんの場合は、約120万円が原則3年間で返済していく金額になります。Yさんは、申立を行った結果、住宅ローンについては従来通りの返済が可能になり、住宅ローンを除く借金は120万円まで減額されました。つまり、毎月住宅ローンの支払いとして約9万円、その他の借金の返済として約3.5万円(3年間)で、合計月額約12.5万円の支払いに抑えることができるようになりました。